Accessにおける四捨五入の考え方
Accessを使った業務システムでは、
計算結果そのものは正しいはずなのに「数値が合わない」と指摘される場面が少なくありません。
原因を辿ると、
多くの場合は 四捨五入の扱い方 に行き着きます。
四捨五入は単なる計算処理ではなく、
業務上の判断をどこで確定させるか という設計の問題です。
本記事では、関数の使い方ではなく、
Access全体の中で四捨五入をどう位置づけるべきかを整理します。
なぜ「四捨五入」が問題になるのか
四捨五入は一見すると単純な処理です。
しかし実務では、
- 合計が合わない
- ExcelとAccessで数値がズレる
- 帳票と画面表示で結果が違う
といった形で問題が表面化します。
これはAccessが間違っているのではなく、
どの段階で四捨五入を行うかが整理されていない ことが原因です。
Accessにおける数値処理の前提
Accessで扱われる数値には、
「内部で保持されている値」と「表示されている値」の差が存在します。
画面やレポート上で小数点以下が表示されていなくても、
内部的には計算に使われ続けているケースは珍しくありません。
この前提を理解せずに四捨五入を行うと、
「見た目は合っているのに結果がズレる」
という現象が起こります。
四捨五入を関数で処理したくなる場面
実務では、次のような場面で四捨五入が持ち出されがちです。
- クエリの集計結果が微妙に合わない
- レポート表示の見た目を整えたい
- VBA計算の結果を補正したい
このとき、
「とりあえず関数で丸める」という判断がされやすくなります。
しかしこれは、
問題を後工程で吸収しようとしている状態 です。
四捨五入処理で起きやすい誤解
四捨五入で最も多い誤解は、
- 丸めてから合計する
- 合計してから丸める
この違いが意識されていないことです。
どちらが正しいかではなく、
どちらを採用しているかを明確にしていない ことが問題になります。
業務ルールが曖昧なままでは、
どの方法を選んでも必ず不整合が生まれます。
四捨五入はどのレイヤーで行うべきか
四捨五入は、行う場所によって意味が変わります。
- テーブル段階
数値を確定させる判断。後戻りできない。 - クエリ段階
集計や計算のための処理。影響範囲が広い。 - 表示段階(フォーム・レポート)
見た目の調整。内部値は変わらない。
どこで行うかは、
その数値を「確定値」とみなすかどうか によって決まります。
業務ルールと四捨五入の関係
会計・請求・管理など、
業務ごとに四捨五入の扱いは異なります。
多くの場合、
- 慣習で決まっている
- 明文化されていない
という状態で運用されています。
システム側が勝手に四捨五入の判断をしてしまうと、
業務とのズレが必ず発生します。
VBAで四捨五入を行う判断基準
VBAで四捨五入を行うこと自体が悪いわけではありません。
ただし、
- 本来は設計で決めるべき判断を
- 後付けの処理で補っている
状態になっていないかは確認が必要です。
VBAが増え始めたときは、
四捨五入の判断が分散していないか を疑うべきです。
四捨五入の扱いが不安定なシステムの特徴
実務で見られる不安定なシステムには、
次のような特徴があります。
- 設計者ごとに処理方法が違う
- Excel・Access・帳票で結果が揃わない
- なぜその数値になるのか説明できない
これは技術の問題ではなく、
判断が整理されていない設計の問題 です。
まとめ|四捨五入は数値処理ではなく設計判断
四捨五入は、
便利な関数の話ではありません。
- どの数値を
- どの時点で
- 確定させるのか
この判断を整理することが重要です。
数値が合わないAccessシステムは、
四捨五入そのものではなく、
設計上の判断が曖昧なまま積み重なっている 可能性が高いと言えるでしょう。
システムキューブの「Accessの移行変換、mdb・adpのバージョンアップ」について

