Access リレーションシップの役割と考え方
Accessで長く使われているシステムを見ると、
設計の良し悪しが最もはっきり表れるのが リレーションシップ です。
- 画面は普通に動いている
- 入力もできる
- しかし、年数が経つにつれてデータがおかしくなる
こうしたAccessは珍しくありません。
その多くは、リレーションシップの考え方が整理されないまま作られていることが原因です。
この記事では、
Accessのリレーションシップについて
「何をする仕組みなのか」「どんな役割を持つのか」「どう考えるべきか」
を、設計視点で整理します。
リレーションシップとは何をする仕組みか
テーブル同士の関係を明示する仕組み
Accessのリレーションシップとは、
テーブル同士がどのような関係にあるかを明示する仕組みです。
単に「線を引いてつなぐ機能」ではなく、
- どのテーブルが親なのか
- どのテーブルが子なのか
- どの項目同士が対応しているのか
を、Accessに明確に伝える役割を持ちます。
この情報は、
クエリ・フォーム・レポート・更新処理など、
Access全体の動作に影響します。
「つないでいるだけ」と誤解されやすい理由
リレーションシップは画面上で線として表示されるため、
「とりあえず結んでおけばよいもの」
と誤解されがちです。
しかし実際には、
その線にどんな意味を持たせているかが重要です。
意味のない線は、
設計を良くするどころか、
後の改修を難しくする原因になります。
リレーションシップが果たす役割
データの整合性を保つ
リレーションシップの最も重要な役割は、
データの整合性を保つことです。
例えば、
- 存在しない担当者IDが登録される
- すでに削除されたマスタを参照している
といった状態は、
業務データとして成立しません。
リレーションシップを正しく設定することで、
こうした不正なデータの登録を
システム側で防ぐことができます。
クエリ・帳票を安定させる
リレーションシップが整理されていると、
クエリでの結合条件が明確になります。
これは、
- 集計結果の安定
- 帳票の信頼性向上
- SQLの可読性向上
につながります。
「なぜこの条件で結合しているのか」が
設計として共有されるため、
属人化を防ぐ効果もあります。
リレーションシップを設定しないと何が起きるか
データは入るが壊れていく
リレーションシップを設定しなくても、
Accessはデータを受け入れます。
一見すると問題なく動いているように見えますが、
時間が経つにつれて、
- 不正な値
- 関係の切れたデータ
- 集計できないレコード
が静かに増えていきます。
この状態は、
後から直すほどコストが高くなるのが特徴です。
人とルールに依存するシステムになる
リレーションシップがないシステムは、
- 入力ルールを人に委ねる
- 運用でカバーする
設計になりがちです。
しかし人は必ずミスをします。
結果として、
- 担当者が変わると品質が落ちる
- 誰も全体を説明できない
といった状態になります。
リレーションシップの基本的な考え方
主キーと外部キーの関係
リレーションシップは、
主キーと外部キーを結ぶことで成立します。
重要なのは、
- 名前やコードではなく
- 一意に決まるIDで結ぶ
という点です。
表示名は変わる可能性がありますが、
IDは変わらない前提で設計します。
1対多が基本になる理由
Accessの業務システムでは、
ほとんどの関係が 1対多 になります。
- 担当者 1人に対して複数の伝票
- 1つのマスタに対して複数の明細
という構造です。
多対多が必要な場合は、
中間テーブルを設ける設計が基本になります。
参照整合性とは何か
参照整合性を設定する意味
参照整合性とは、
親テーブルと子テーブルの関係を厳密に守る仕組みです。
これを設定すると、
- 親が存在しない子は登録できない
- 子が存在する親は削除できない
といった制御が行われます。
これは、
人の注意力に頼らず、
Accessがルールを守ってくれる状態を作ることを意味します。
カスケード更新・削除の考え方
参照整合性には、
- カスケード更新
- カスケード削除
というオプションがあります。
便利な反面、
安易にONにすると危険です。
特に削除は、
意図せず大量のデータが消えるリスクがあります。
「便利だからON」ではなく、
業務として本当に必要かを考える必要があります。
リレーションシップ設計でよくある誤り
とりあえず全部つなぐ
線が多いほど、
設計が良いわけではありません。
意味のないリレーションシップは、
- 読みづらい
- 修正しづらい
- 理解されない
設計になります。
運用を考えずに制約をかける
参照整合性を設定した結果、
- 削除できない
- 修正できない
といった問題が起きることもあります。
設計時点で、
将来の運用まで想定することが重要です。
リレーションシップをどう考えるべきか
Accessは「守ってくれるDB」
Accessは、
正しく設計すれば
人のミスを防いでくれるDBです。
リレーションシップは、
その中心的な仕組みと言えます。
将来の改修・移行を見据えた視点
リレーションシップが整理されているAccessは、
- SQL Serverへの移行
- 他システムとの連携
が比較的スムーズです。
逆に、
リレーションシップが曖昧なAccessは、
移行時に大きなコストが発生します。
まとめ|リレーションシップは設計者の意思表示
リレーションシップは、
- 見た目の線
- 形式的な設定
ではありません。
データをどう守り、どう使い続けたいか
という、設計者の意思表示です。
システムキューブの「Accessの移行変換、mdb・adpのバージョンアップ」について

