システム開発の工程を解説|工程割合やモデル・順序立てるメリット

システム開発は、工程分けをし順序立てて作業することが、スムーズな進行の鍵です。工程を分けることで、開発を効率的に進められるだけでなく、トラブルを未然に防ぐこともできます。
この記事では、システム開発の全体像をわかりやすく解説し、工程を分けるメリットや代表的な開発モデルについてもご紹介します。社内でシステム開発を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
システム開発をスムーズに進めるためには、専門的な知識や経験が欠かせません。
システムキューブでは、企業ごとのニーズに合わせた最適な開発プランを提案し、企画から運用・保守までトータルでサポートいたします。これまでの豊富な実績を活かし、お客様の業務効率化を実現するシステムを開発いたしますので、安心してお任せください。
システム開発の工程一覧
システム開発の工程は、以下の9つに分けられます。それぞれの工程で何を行うのかを簡単に説明します。
1.要件定義 | ユーザーの要望のヒアリングと整理 |
2.基本設計 | システム全体の設計 |
3.詳細設計 | 細かい部分の設計 |
4.単体テスト | プログラムを1つずつテスト |
5.結合テスト | 単体テストを終えたプログラムの連携を確認 |
6.システムテスト | システム全体が正しく動くかどうかをチェック |
7.運用テスト | 実際の環境に近い状況でテスト |
8.リリース | システムを実際に使用 |
9.システムの保守とメンテナンス | リリース後の管理と追加機能の実装 |
1.要件定義
要件定義とは、お客様の要望を整理し、必要な機能を明確にする工程です。たとえば「社員が業務報告を簡単にできるツールがほしい」という場合、どんな画面や操作が必要かを具体的に決めます。
完成図をよりクリアーに描いていくためにも、用件定義ではじっくり話し合いを行い、潜在ニーズを明らかにすることが大切です。
2.基本設計
要件定義をもとに、システム全体の設計図を作ります。
たとえばログイン画面からの遷移やデータの保存方法など、システムの大まかな枠組みを作るのが、基本設計の段階で取り組む内容です。建築でいう「家の間取り」を決める段階と考えると、わかりやすいのではないでしょうか。
システムの構造や流れを設計し、どの機能がどのように連携するかを明確にすることで、次の工程である詳細設計がスムーズに進みます。
3.詳細設計
詳細設計の段階では、基本設計をさらに細かく分解し、各プログラムや機能について具体的な仕様を決めます。たとえば「ログイン画面で入力されたIDとパスワードをどう処理するか」「エラーが発生した場合、どのようなメッセージを表示するか」といった細部を詰めていきます。
この段階で曖昧な点が残ると、開発に滞りが発生するため、非常に重要な工程です。
4.単体テスト
詳細設計を終えたら、次は単体テストを行います。ここでは、開発したプログラムの1つひとつが正しく動作するかを確認します。家を建てる際の「柱や壁がしっかりしているかどうか」をチェックするような工程です。
細かい部分のバグも見落とさないよう、細心の注意を払いチェックを進めます。
5.結合テスト
結合テストでは、単体テストを終えたプログラムを組み合わせて、システム全体として正常に連携するかどうかを確認します。家でいうと、「ドアを開けたとき、ちゃんと隣の部屋に行けるかどうか」「空調のスイッチを入れたら、全室が暖かくなるか」などを確認する工程です。
システム開発では「ログインした後に次の画面に正しく移行できるか」や「データが正確に他の機能と連動するか」など、システム全体の流れを重点的にテストします。
6.システムテスト
これまでの工程を踏まえ、実際に使う環境でシステムがスムーズに動くかどうかを徹底的にテストします。たとえば、大量のデータが入力された場合でも正常に処理できるかなど、実践的なチェックが行われます。
7.運用テスト
システムテストが完了した後、実際の運用環境に近い状況で最終確認を行います。
この段階では利用者の視点に立ち、操作性や使い勝手を重点的にチェックします。また、万が一のトラブルが起きた場合に備え、対応方法も確認します。
8.リリース
システムを実際に使い始める工程です。家でいうところの「引き渡し」のタイミングであり、一番の成果が見える瞬間です。リリース直後は、ユーザーからのフィードバックをもとに微調整を行い、システムをより良いものに仕上げていきます。
9.システムの保守とメンテナンス
リリース後も、システムが問題なく動き続けるように管理や改善を行います。たとえば「使ってみたけど〇〇の機能があったほうが良い」など新たな要望があれば、機能の追加を行います。
また、継続して使用することで不具合が発生することもあるかもしれません。運用中のトラブルを防ぐため、定期的なメンテナンスも行います。
システム開発の工程割合
システム開発で有する期間は、システムの内容や規模によって異なります。以下は、システム開発における、各工程にかける期間の目安です。
工程 | 工数割合の目安 | 期間の目安 |
要件定義 | 約20% | 1~2か月前後 |
設計 | 約25% | 2〜3か月前後 |
実装 | 約30% | 3か月前後 |
テスト関連 | 約25% | 2〜3か月前後 |
運用・メンテナンス | 開発後のため含めず | 継続 |
工程の中で比重が高いのは、実装関連に関する工程です。その他の工程は、それぞれ全期間の20〜25%ほどとなっており、開発現場の様子を見ながら調整を行います。
参考:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「ソフトウェアメトリックス調査2020
システムキューブでは、お客さまの目線に立ちながら、一つひとつの工程をていねいに進めていきます。「自社の業務に合ったシステムを導入したい」「業務改善のためのシステムを入れたいがぼんやりしたイメージしかない」など、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
お客さまと二人三脚で、最適なシステムをご提案します。
システム開発の工程モデル
システム開発にはさまざまな工程モデルがあります。その中でも代表的なモデルは、次の3つです。
- アジャイルモデル(短期間で完成と修正を繰り返す)
- ウォーターフォールモデル(システム開発の基本工程で進行)
- スパイラルモデル(試作品の完成と修正を繰り返して完成系をつくる)
開発するシステムの内容や、事業形態などに合わせて選択することが重要です。
アジャイルモデル
アジャイルモデルは短い期間で少しずつ開発を進め、完成品を繰り返し改良していく方法です。2〜4週間程度の短いサイクルで開発・テストを行い、その都度、ユーザーからフィードバックを得て改善を繰り返します。
そのため、アジャイルモデルは機能を随時追加していく場合や、技術革新のスピードが速い分野など変化への対応力が求められるプロジェクトに適しています。一方で、計画性や進捗管理が甘くなると予定通りに開発が進まなかったり、妥協する部分が生じて方向性がブレたりすることも少なくありません。
これらのトラブルを防止するためにも、アジャイルモデルを採用する場合は、適切なスケジュール管理や進捗確認を行う仕組みを整えることが大切です。
ウォーターフォールモデル
ウォーターフォールモデルは、その名が示す通り、要件定義から設計、テスト、リリースまでの各工程を、滝のように上から下に順番に進めていく開発手法です。
工程ごとに確認ポイントを設けるため、品質を担保しやすい点がウォーターフォールモデルの魅力です。しかし、途中で要件が変わるとその後の全ての工程を組み立て直さなくてはならなくなるため、要件定義は慎重に行うことが重要になります。
また、この工程モデルを採用した場合、完成後に大きな変更を加えるのが困難です。そのため最初の工程である案件定義に、工数割合を多く割く場合もあります。
スパイラルモデル
スパイラルモデルは、ウォーターフォールモデルとアジャイルモデルの中間に位置するような工程モデルです。初期段階で完全な計画を立てるのではなく、試作品の実装とフィードバックを何度も繰り返し、段階的にシステムの完成系を目指します。手探りの状態で少しずつシステムを完成させるため、大規模なシステム開発や要件が曖昧な場合に適した工程モデルです。
ただし、開発期間が長くなりやすいため、適切な進捗管理を行える仕組みが求められます。
システム開発で工程を分ける理由
システム開発は工程を分けて少しずつ進めていきます。工程を分ける理由は、次の通りです。
- タスク管理の効率化
- トラブルの軽減
- 人的・時間的コストの削減
それぞれの内容を、解説します。
タスク管理の効率化
システム開発の工程を分けることで、作業範囲や担当者が明確になり、全体のタスク管理が効率的に行えます。
工程を分けずにシステム開発を進めた場合、誰がどこまで作業をしたのかわからない状態になります。その結果、案件定義を終えていないのに基本設計に移ってしまうなど、必要な工程が抜け落ちることもあるかもしれません。
「要件定義と基本設計の概要説明はAさん」「Aさんが仕事を終えたら、基本設計の組み立てからはBさん」など、工程を分けることで役割分担が明らかになり、タスク管理によるトラブルも減少します。
トラブルの軽減
工程を分けずにシステム開発を行うと「いきあたりばったり」の状態となり、ミスに気付かずに実装状態まで進んでしまうケースもあります。そうなれば工程を大きく遡り、問題解決を行わなくてはならず、開発に大幅な遅れが生じます。
工程を分けて開発を行うことで、問題を早期に発見しやすくなり、進捗に遅れが生じるのを防げます。
たとえば、単体テストの段階でプログラム単位の不具合を修正しておけば、結合テストやシステムテストで大規模な問題が起こるリスクを大幅に減らせるでしょう。また、各工程で確認ポイントを設定すれば、次の工程に進む前に品質を担保する仕組みを作れます。
人的・時間的コストの削減
工程を計画的に分けて進めることで、無駄な作業を減らしコスト削減につながります。
たとえば要件定義や設計の段階で十分な検討を行うことで、後の工程での修正や作り直しを防ぐことができます。また、各工程での役割が明確になるため、必要な人材やリソースを的確に配置でき、無駄な時間やコストを抑えられます。
このように、効率的にプロジェクトを進行させるためには、工程分けと事前の計画が非常に重要です。
システム開発工程における重要な略語
システム開発現場では、アルファベットの略語が頻出します。以下の表は、システム開発工程において、重要な略語とその意味です。システム開発担当者の方は、参考にしてください。
略語 | 意味 | 解説 |
SP | システム企画 | システム開発の目的や必要性を整理 |
SA | 要求分析 | 利用者の要望や課題を具体的に分析 |
RD | 要件定義 | 必要な機能や仕様を明確にし、実際の開発に落とし込む |
BD | 基本設計 | 全体の骨組みづくり |
DD | 詳細設計 | 具体的な仕様を決定 |
UT | 単体テスト | プログラム単体が正しく動作するかを確認 |
IT | 結合テスト | プログラムの連携の動作チェック |
ST | システムテスト | システム全体としての動作や品質を確認 |
OT | 運用テスト | 実際の運用環境に近い状況でテスト |
まとめ|システム開発の工程を把握し生産効率を高める
システム開発は多くの工程に分かれていますが、それぞれの役割や流れを理解し順序立てて進めることで、生産効率を大きく向上させることができます。
また、工程を分けることで、問題を早期に発見しやすくなり、トラブルを未然に防ぐことも期待できます。さらに、アジャイルやウォーターフォールなどの開発モデルをプロジェクトの性質に応じて使い分けることで、効率性と品質の維持がかないます。
システム開発において不明点や不安な点は、ぜひ私たちにご相談ください。私たちは和歌山県を拠点とし、これまでにさまざまな企業様のシステム開発支援を行ってきました。
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