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バーチャルオフィス 銀行口座は開設できる?審査通過のコツと対応銀行一覧

バーチャルオフィスの住所で法人登記をした場合、銀行の法人口座を開設できるのか不安に感じる方は少なくありません。たしかに審査が厳しくなる傾向はありますが、適切な準備をすれば開設できる可能性は十分にあります。

この記事では、金融機関タイプ別の対応傾向や審査通過のポイント、審査に落ちた場合の対処法まで実務に役立つ情報を整理しました。

バーチャルオフィスの住所でも銀行の法人口座は開設できる

法人を設立したあとに必要になるのが、銀行の法人口座です。バーチャルオフィスの住所で登記した法人であっても、法人口座を開設すること自体は可能です。ただし、すべての金融機関が同じ対応をしているわけではない点に注意が必要です。

バーチャルオフィスの住所であることを理由に、申し込みの時点で対象外とする金融機関も存在します。一方で、提出書類をもとに総合的な審査を行い、バーチャルオフィス利用者にも門戸を開いている金融機関もあります。

バーチャルオフィスは住所地に物理的な業務スペースがないという性質を持っています。そのため金融機関から見ると、事業実態の把握が難しいと判断されやすい傾向があるのは事実です。しかし「バーチャルオフィスだから法人口座は絶対に作れない」ということではありません。

バーチャルオフィスを利用する起業家にとって大切なのは、どの金融機関が開設に対応しているかを把握することです。そのうえで、審査で求められる書類や情報をあらかじめ整えておくことが重要になります。

金融機関ごとに審査の基準やスタンスは異なります。自社の事業内容や状況に合った申込先を選び、必要な準備を進めていきましょう。

バーチャルオフィスだと銀行の審査が厳しくなる理由

法人口座の開設審査が厳格化された背景には、犯罪収益移転防止法(犯収法)の存在があります。この法律はマネー・ローンダリングやテロ資金供与を防止する目的で2007年に制定されました。2008年3月に全面施行されています。

この法律により、金融機関は法人口座の開設時に以下の4項目を確認する義務を負っています。

確認項目内容
本人特定事項法人の名称および本店所在地
取引を行う目的口座をどのような目的で利用するか
事業の内容定款や登記事項証明書などから確認
実質的支配者法人を実質的に支配している人物(議決権を25%超保有する者など)

金融機関はこれらの確認を通じて、口座が不正な目的に利用されるリスクがないかを判断しています。

バーチャルオフィスの場合、登記上の住所に実際の業務スペースが存在しません。そのため金融機関にとっては「事業の内容」や「取引を行う目的」の裏づけが取りにくい構造です。

住所に訪問しても事業活動の現場を確認できないため、書類だけで事業実態を判断せざるを得ません。この点が、バーチャルオフィス利用者に対する審査が厳しくなる主な理由です。

法人口座開設を成功させるには「事業内容や取引目的を説明できる資料を準備しておくこと」がとても重要になります。事前の準備を丁寧に行うことで、審査通過の可能性は高まるでしょう。

法人口座を開設できる銀行の種類と特徴

バーチャルオフィスの住所で法人口座を開設する場合、金融機関の種類によって対応状況は大きく異なります。金融機関のタイプごとにバーチャルオフィスへのスタンスや審査の傾向に違いがあるため、自社の状況に合った申込先を選ぶことが重要です。まずは金融機関タイプ別の対応傾向を把握したうえで、それぞれの特徴を確認していきましょう。

以下の表は、金融機関タイプ別の対応傾向を整理したものです。

金融機関バーチャルオフィスへの対応傾向申込み方法
ネット銀行対応している銀行が多い。公式サイトで「バーチャルオフィスでも申込み可能」と明記している銀行もあるオンライン完結が主流
メガバンクバーチャルオフィスを理由に一律NGとはしていない。提出書類をもとに総合的に判断オンライン対応が拡大中。Web面談を併用する銀行もある
地方銀行・信用金庫登記住所と実際の業務地が一致していないと対象外になるケースがある来店が基本

それぞれの金融機関の傾向について詳しく解説します。

ネット銀行

バーチャルオフィス利用者にとって、最も間口が広いのがネット銀行です。

ネット銀行には、申込から口座開設までオンラインで完結できるという特徴があります。振込手数料が比較的低い点や、口座維持手数料が無料の銀行が多い点もメリットです。設立直後で取引実績がない法人に対しても申込を受け付けている銀行が多く、創業期のコストを抑えたい起業家にとっては現実的な選択肢となるでしょう。

実際に主要なネット銀行のひとつであるGMOあおぞらネット銀行は、公式サイトのFAQに注目すべき記載があります。「登記されている法人所在地がバーチャルオフィス(レンタルオフィス)であっても口座開設いただけます」と明記しているのです。

住信SBIネット銀行も、公式サイト上でバーチャルオフィスでの開設可能性に言及しています。スマートフォンでの本人確認(eKYC)によるオンライン完結の口座開設にも対応しています。

ただし、求められる確認書類の種類は銀行ごとに異なります。独自ドメインのWebサイトの有無や、設立からの経過期間といった条件にも差があります。金融機関によっては、転送不要の簡易書留郵便を登録住所宛てに送付するケースもあるでしょう。受け取りができない場合は口座開設手続きが完了しないことがあるため注意が必要です。

手続きをスムーズに進めるためにも、申込前に各ネット銀行の公式サイトで最新の必要書類と要件を確認しておきましょう。

メガバンク

メガバンクでも、バーチャルオフィスであることだけを理由に法人口座の開設が一律で不可になるわけではありません。

たとえばみずほ銀行は、公式サイトで重要な説明をしています。登記上の住所がバーチャルオフィスの法人でも法人口座の開設は可能としているのです。ただし、事業実態や事業目的を適切に説明できることが前提になります。今後の事業計画を書類で証明できることも重要です。

三井住友銀行は、スタートアップ・中小企業向けの法人口座サービス「Trunk(トランク)」を提供しています。Trunkはオンライン完結で申込が可能です。提出書類は事業内容が確認できる書類1点とされています。実店舗や賃貸事務所の有無だけで判断するのではなく、事業内容や事業実態をもとに審査する仕組みといえるでしょう。

一部のバーチャルオフィス運営会社では、三井住友銀行との提携によるサービスを提供しています。Trunkの法人口座開設に関する紹介などを行っているケースもあります。

一方で、ネット銀行と比較すると提出書類が多くなる場合があります。Web面談が求められることもあり、審査に要する時間も長くなる傾向です。設立直後で取引実績がほとんどない段階では、事業計画書や代表者の経歴など事業の実在性を丁寧に示す準備が求められます。

メガバンクの法人口座は対外的な信用力が高い点が魅力です。取引先への請求書に記載する振込先がメガバンクであれば、相手に与える印象も変わります。審査のハードルはやや高くなりますが、事前準備を入念に行ったうえで申し込むことを検討してみてください。

地方銀行・信用金庫

地方銀行や信用金庫は、営業エリア内の事業者との密接な取引関係を基盤としている金融機関です。登記上の住所と実際に業務を行っている場所が一致していることを重視する傾向が強く、バーチャルオフィスとは構造的に相性が合いにくい面があります。

バーチャルオフィスの住所が金融機関の営業エリア内であっても、その住所に業務実態がないと判断された場合は審査の対象外となるケースが存在します。ネット銀行やメガバンクと比べると、バーチャルオフィス利用者にとってはハードルが高い金融機関タイプです。

ただし、将来的に融資を受けることを視野に入れている場合は別の視点が生まれます。実際に業務を行っている地域の地方銀行や信用金庫に口座を開設しておくと、融資審査で有利に働く可能性があるのです。

地銀・信金は融資審査において日常的な取引実績を重視する傾向があります。事業が軌道に乗った段階で、自宅や実際の業務拠点がある地域の金融機関にあらためて相談するのもひとつの方法です。まずはネット銀行で法人口座を開設し、事業の成長に合わせて地銀・信金との取引を検討するという段階的な進め方も現実的な選択肢になるでしょう。

銀行の審査を通過するために押さえておきたいポイント

法人口座の審査では、金融機関が「この法人は実在する事業を行っているか」を判断するための材料をどれだけ揃えられるかが結果を左右します。バーチャルオフィス利用者の場合は住所地に業務実態がないため、書類や情報で事業の実在性を補う必要があります。

ここでは審査を見据えて準備しておきたい5つのポイントを整理します。事前の対策を講じることで、審査通過の確率を高めることができるでしょう。

  • ポイント1: 定款の事業目的を多くしすぎない
  • ポイント2: 資本金は事業規模に見合った金額にする
  • ポイント3: 事業計画書(創業計画書)を作成し、収益の見通しを示す
  • ポイント4: Webサイト・経歴書・契約書など事業実態を裏づける資料を整える
  • ポイント5: 信頼性の高いバーチャルオフィスを選ぶ

定款の事業目的を多くしすぎない

法人口座の開設審査では、多くのケースで登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の提出が求められます。金融機関はこの書類に記載された事業目的を確認し、「何をしている会社なのか」を把握します。

会社設立時には「将来やるかもしれない事業」まで幅広く事業目的を記載するケースがよく見受けられます。しかし事業目的の項目が多すぎると、金融機関の担当者が定款を見ただけでは主たる事業が判断できません。「事業の実態が読み取れない」と判断されれば、審査においてマイナスに働く可能性があります。

定款の事業目的は、現在行っている事業を中心に構成することが大切です。すぐに開始する予定の事業も含めてよいですが、主たる事業が一読してわかる記載にしておきましょう。

目安としては、主要な事業を上位に配置するのがポイントです。全体で10項目前後に収めると、事業内容が明確に伝わりやすくなります。項目数が20を超えるような定款は、金融機関から見ると事業の焦点が定まっていない印象を与えかねません。

なお、定款の事業目的は登記後に変更することも可能です。ただし変更登記には登録免許税として3万円がかかります。口座開設の審査を見据えるのであれば、設立時の定款作成の段階で事業目的の内容と数を意識しておくほうが合理的でしょう。

資本金は事業規模に見合った金額にする

会社法上、資本金は1円から設立が可能です。しかし法人口座の審査においては、資本金の額が法人の信用力を判断する材料のひとつとして見られています。

資本金が極端に少額の場合、「事業を継続する資金的な裏づけがあるのか」という疑念を持たれるリスクがあります。「ペーパーカンパニーではないか」と疑われる原因にもなりかねません。

一般的には100万円の資本金があれば、ひとつの基準を満たすとされています。可能であれば300万円程度を用意できると、金融機関に対して一定の信用力を示しやすくなるでしょう。

ただし、資本金を高く設定しすぎることにも注意が必要です。以下の2つの点を確認しておきましょう。

消費税の影響: 設立1期目または2期目の期首における資本金の額が1,000万円以上の場合、その期は消費税の免税事業者になれません。課税事業者として消費税を納める義務が生じます。

法人住民税の均等割: この税金は資本金1,000万円以下の場合、年間約7万円です。資本金等の額が1,000万円を超えると年間約18万円に増額されます(東京23区・従業者50人以下の場合)。

これらの理由から、資本金の額は極端に低くも高くもない金額が望ましいといえます。自分の事業規模に見合った適切な金額を設定しましょう。

事業計画書(創業計画書)を作成し、収益の見通しを示す

設立直後の法人は、売上実績や取引履歴といった「過去の事業活動」を示す材料がありません。金融機関にとっては、その法人が実際に事業を行う意思と能力を持っているかを判断する手がかりが限られる状態です。

この段階で事業の実在性を裏づける最も有力な資料が事業計画書(創業計画書)です。計画書に盛り込むべき主な項目は以下のとおりになります。

項目記載すべき内容
事業の概要提供するサービス・商品の内容やターゲット顧客
ビジネスモデルどのように売上が発生するかの仕組み
売上見込み月次または年次の収益予測とその根拠
取引先候補想定している仕入先・販売先・業務委託先
代表者の経験事業に関連する業務経験やスキル

口座開設に用いる計画書は、事業の全体像を具体的に説明することが重要です。抽象的なビジョンだけを記載するのでは不十分といえます。「何を」「誰に」「どのように」提供するのかが読み取れる内容にしましょう。

たとえばWeb制作事業であれば、「中小企業向けにWordPressを用いたコーポレートサイト制作を提供する」と具体的に記載します。「IT関連の事業を行う」という漠然とした表現では、金融機関の担当者に事業内容が伝わりません。

売上見込みについても、根拠を示すことが大切です。「月間3件の受注を見込み、単価30万円で月商90万円を目標とする」のように数字で示すと説得力が増します。

計画書のフォーマットとしては、日本政策金融公庫が公開している「創業計画書」を参考にすることをおすすめします。

Webサイト・経歴書・契約書など事業実態を裏づける資料を整える

事業計画書に加え、金融機関が事業の実在性を確認する材料として重視する資料があります。以下の3種類の資料について、それぞれ解説していきます。

自社のWebサイト

金融機関は審査の過程で、申込法人のWebサイトを確認することがあります。簡素な構成であっても問題はありません。会社名・代表者名・所在地・事業内容・提供するサービスの概要が掲載されていれば十分です。「この法人は事業活動を行っている」という判断材料になります。

ただし、無料のWebサービスで作成したサイトでは審査上の評価が低くなるケースも報告されています。一部の銀行では、特定の無料Webサービスで作成されたホームページを事業実態の確認資料として扱わないとしています。

口座開設を見据えるのであれば、Webサイトを開設する際には独自ドメインを取得しておくことが望ましいでしょう。独自ドメインの取得費用は年間数千円程度です。法人口座の開設を左右する投資と考えれば、十分に検討する価値があります。

Webサイトに掲載しておきたい最低限の情報は以下のとおりです。

  • 会社名(法人名)
  • 代表者名
  • 所在地
  • 事業内容・提供サービスの説明
  • 連絡先(電話番号・メールアドレス)

代表者の経歴・職務経歴書

設立直後の法人では、法人としての実績がない分、代表者個人の経歴が信頼性の判断材料になります。これから始める事業と関連性のある業務経験やスキルがあれば、「事業を遂行する能力がある」と評価されやすくなるでしょう。

職務経歴書として形式的にまとめておく必要は必ずしもありません。しかし事業計画書や面談の場で代表者の経歴と事業との関連性を説明できるよう準備しておくことは重要です。

たとえばプログラマーとして10年の経験がある方がシステム開発会社を設立する場合を考えてみましょう。その経歴は事業の遂行能力を証明する強力な裏づけとなります。

契約書・請求書など取引実態を示す資料

取引先との契約書・発注書・請求書・納品書といった書類は、事業が実際に動いていることの直接的な証拠です。設立直後でまだ取引が発生していない場合でも、準備できる書類はあります。業務委託契約書の締結や仕入先との取引条件の合意書などがあれば、事業活動の準備が具体的に進んでいることを示す材料になるでしょう。

設立直後であっても提出できるものを可能な限り揃えておくことが、審査をスムーズに進めるうえで重要です。契約書が1通あるだけでも、事業の実在性を示す材料としての価値は大きいといえます。

信頼性の高いバーチャルオフィスを選ぶ

バーチャルオフィスの選び方は、法人口座の審査に間接的な影響を与えます。

前述のとおり、金融機関がバーチャルオフィスに対して慎重になるのは住所地に業務スペースがないためです。事業実態の確認が難しくなることが主な理由ですが、それだけではありません。

バーチャルオフィスの運営会社によって入居審査の厳格さに差があることも、金融機関が慎重になる一因と考えられます。本人確認が不十分な運営会社を利用している場合、同じ住所を犯罪目的で使用する利用者が入り込むリスクがあるのです。その住所に犯罪歴がついてしまうと、同じ住所を利用するほかの法人の口座審査にも影響が及ぶ可能性があります。

バーチャルオフィスを選ぶ際には、以下の点を確認しておきましょう。

チェックポイント確認すべき内容
入居審査の厳格さ本人確認書類の提出や事業内容の確認を行っているか
運営実績運営歴が長く利用法人の実績が豊富か
銀行との提携金融機関への紹介制度や口座開設サポートがあるか
住所の評判その住所が過去に犯罪利用されたことがないか

とくに銀行との提携・紹介制度を持っているバーチャルオフィスは注目に値します。金融機関と日常的にやり取りがある分、口座開設に関する実務的なノウハウが蓄積されているためです。

バーチャルオフィスの月額料金の安さだけで選ぶのは避けましょう。入居審査の厳格さや銀行との連携体制を含めて総合的に判断することが、結果的に口座開設をスムーズに進めることにつながります。

銀行の審査に落ちた場合の対処法

法人口座の審査に通らなかった場合、焦ってすぐに次の行動を取る前に見直せる要素を冷静に整理することが重要です。バーチャルオフィス利用者の場合は「やはりバーチャルオフィスだから落ちたのではないか」と考えがちです。しかし実際には、オフィス形態以外の原因で審査に通らないケースも多くあります。ここでは審査に落ちた場合の具体的な対処法を解説します。

審査落ちの理由は原則として銀行から開示されない

法人口座の審査に落ちた場合、金融機関から不承認の理由が開示されることは基本的にありません。「バーチャルオフィスが原因なのか」「資本金の額が不足していたのか」「事業計画の内容が不十分だったのか」など、原因を正確に特定することはできない仕組みです。

理由が分からないまま「バーチャルオフィスが原因に違いない」と決めつけてオフィス形態を変更するのは早計です。「もう銀行口座は作れない」と諦めるのも得策ではありません。自分自身で見直せる要素を洗い出し、改善できるところから対処していきましょう。

具体的には、以下のような観点で振り返ることをおすすめします。

  • 事業内容を第三者が理解できるように説明できていたか
  • 事業計画書やWebサイトなど事業の実在性を裏づける資料は十分だったか
  • 定款の事業目的が多すぎて本業が不明瞭になっていなかったか
  • 資本金の額が事業規模に対して極端に少なくなかったか
  • 提出書類に不備や記載漏れはなかったか

これらの項目をひとつずつ確認し、改善の余地がある部分を見つけることが次のステップにつながります。

バーチャルオフィス以外のオフィス形態に変えるべきか

審査に落ちると「レンタルオフィスや賃貸事務所に移るべきか」と検討する方もいるでしょう。たしかにオフィス形態によって金融機関からの見え方は変わります。しかしオフィスを変えれば審査に通るという保証はありません。

以下の表は、主なオフィス形態ごとの特徴を整理したものです。

オフィス形態月額コストの目安業務スペース口座審査での評価
バーチャルオフィス数千円〜なし事業実態を書類で補完する必要がある
レンタルオフィス数万円〜あり(個室または共用)業務スペースがある分、実態を示しやすい
自宅0円あり事業実態の確認がしにくいと見なされる場合がある
賃貸事務所数万〜数十万円あり最も事業実態を示しやすい

前のセクションで解説したとおり、ネット銀行を中心にバーチャルオフィスでの口座開設を受け付けている金融機関は複数存在します。オフィス形態の変更は固定費の増加に直結するため安易な判断は禁物です。

まずは提出書類の見直しや申込先の変更で対処できないかを検討しましょう。オフィス変更は最終手段として位置づけるのが賢明です。

提出書類・事業計画を見直して銀行に再申請する

審査に落ちた場合でも、提出書類や事業計画を見直したうえで再申請することは可能です。同じ金融機関への再申請だけでなく、別の金融機関への新規申込という選択肢もあります。

同じ金融機関へ再申請できるかどうかは銀行によって対応が異なります。どの程度の期間を空けるべきかも金融機関ごとに違うため、再申請前に公式サイトや窓口で確認しましょう。

書類などの見直しの方向性としては、以下のようなパターンが考えられます。

  • 事業計画書を作成していなかった場合は、事業の全体像と収益の見通しを具体的に記載したものを新たに作成する
  • 内容が抽象的だった場合は、数字や具体例を盛り込んで説得力を高める
  • Webサイトが未整備だった場合は、独自ドメインで会社概要・事業内容・代表者情報を掲載したサイトを開設する
  • 提出書類が最低限だった場合は、取引先との契約書や請求書など事業実態を補完する資料を追加で用意する

また再申請にこだわらず、別の金融機関に申請することも積極的に検討してください。ひとつの銀行で審査に通らなかったとしても、審査基準は金融機関ごとに異なります。別の銀行では通るケースはよくある話です。

複数の金融機関に同時に申し込むことも法律上は問題ありません。申込先を分散させることで、口座開設の成功確率を高めることができるでしょう。

法人口座が開設できないまま事業を続けるリスク

法人口座が開設できない間に、個人名義の口座を使って法人の取引を行うこと自体は法律上禁止されていません。会計処理を適切に行い、法人の取引として帳簿に記録していれば税務上も直ちに問題になるわけではないでしょう。

ただし、個人口座で法人取引を続けることには複数のデメリットが伴います。

取引先からの信用低下: 請求書に記載された振込先が個人名義の口座である場合、取引先から不信感を持たれる可能性があります。法人間の取引では法人名義の口座が一般的であるためです。新規の取引先から取引を断られるケースも起こり得ます。

経費処理の煩雑化: 個人口座で法人の取引を行うと、個人の支出と法人の支出が混在しやすくなります。毎月の経理作業が煩雑になり、仕訳ミスのリスクも高まるでしょう。

税務調査での不利益: 税務調査の際には、個人口座の入出金を通常より厳しくチェックされる可能性があります。個人の支出と法人の支出の区分が不明確な場合、経費として認められないと判断されるリスクもあるのです。

やむを得ず個人口座を使用する場合の対策も押さえておきましょう。法人の取引専用に個人口座をもう1つ開設し、個人の生活費用の口座と完全に分離しておくことを検討してください。そのうえで法人口座の開設が完了した時点で、速やかに取引口座を切り替えることが大切です。

まとめ

バーチャルオフィスの住所で登記した法人でも、銀行の法人口座を開設することは可能です。ネット銀行を中心にバーチャルオフィス利用者の申込を受け付けている金融機関は複数あります。

審査を通過するためには、事業計画書の作成やWebサイトの整備など事業の実在性を示す準備が不可欠です。万が一審査に落ちた場合でも、書類の見直しや申込先の変更で再チャレンジできます。法人口座の開設に不安がある方は、税理士などの専門家に相談しながら準備を進めてみてください。