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無線LAN規格IEEE802.11ac(draft)を試す

2013年7月5日 10:00 | パソコン関連 | | 1,235 views
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Wi-Fi

一般向けの無線LAN規格802.11ac(draft)での無線LANの構築計画を立て、実際に使用できるかの判断のために、通信速度などを計測してみました。

無線LAN規格について

IEEE802.11が無線LANの規格を定めているもので、この後に続く、a/b/g/n等といった文字は、この規格のなかで、周波数や、方式の違いなどによる差を示しています。

b/g/nという無線アクセスポイントは、一番多く普及しており、またもともと対応しているノート型パソコンや、スマートフォンなども多いです。これらは周波数としては、2.4GHzを利用しています。

弊社事務所でも、ノート型PCや、タブレット、スマートフォンなどのためにこの2.4GHzのアクセスポイントを使用しています。

2.4GHzを利用するアクセスポイントは普及台数も多いため、このところ電波の干渉が多く、到達距離や、スピードに影響が出ることも多くなってきています。

a/n規格と呼ばれる無線LANは5GHzを利用するため、遮蔽物や距離に対しては比較的弱いですが、アクセスポイント普及台数も少なく、干渉も少ないことから、この5GHz帯のアクセスポイントの導入を検討しました。

LANの拡張の計画

弊社の従業員数も増え、事務所の拡張を本格的に検討する上で、コンピュータ企業としてはネットワークがどうしても欠かせません。

Webサイト作成も主な業務ですので、ルーターの外に出ていく通信も重要ですが、社内でのファイルのやり取り、ソースコードのバージョン管理システムとのやり取り、データベースサーバーとのやりとり、などの通信には、より高速性を求められます。

本来有線のLANを敷設するのが正しい方法ですが、現在配管などがないため、増設工事を行うとしても業務との兼ね合いがありますので、即取り掛かるのは簡単ではありません。

そこで、今回LANの拡張のためにこの802.11ac規格の無線通信の導入を検討します。

スクリーンショット 2013-07-04 15.21.29

このようなイメージで構築を考えています。

外部へ出ていく通信は、NTTの回線速度で固定されていますので、社内LANとしてどれだけ使えるのか、ということを主眼にして考えてみます。

IEEE802.11acの親子接続の速度

現在あるLANのスイッチングハブにNEC Aterm WG1800HPを接続しアクセスポイントとします。そして同型のアクセスポイントを子機、イーサネットコンバーターとして、新設されるLANとの通信に利用します。

十分使えるスピードが出るのでしょうか。実効751Mbpsといっても、非常に良好な状態での計測と考えられますので、それだけの速度はまず出ることはないと経験則から考えてテストしてみます。

iPerfの結果

iPerfというネットワークの帯域を計測するアプリケーションの計測の結果は以下の通りです。

2.4GHz(802.11n) 54.82Mps
5GHz(802.11n) 185.6Mbs
5GHz(802.11ac)コンバータ 254.4Mbps
有線ギガビットLAN 922Mbps

クライアントPCとWindowsサーバー間の計測で、それぞれ5回の計測の平均値を出しています。

有線LANはやはり安定して、900Mbps以上出ています。

2.4GHz帯は、他の無線LANアクセスポイントの干渉を受けて、かなり速度は遅いことがわかります。

802.11ac規格、イーサネットコンバータ経由で最大300Mbps出ましたが、平均すると250Mbps程度となりました。

有線LANの3分の1程度の帯域と言えます。

これは計測上のもので、ここから実際のデータを受け渡しするとなると、この通りの結果は出ないものと考えます。

引き続き、ファイル転送の結果を見てみたいと思います。

FTPの結果

FTPによるサーバーへのファイルのアップロードの転送速度です。

STORコマンド発行後ファイルを送信し始めたところからの経過時間と、転送ファイルサイズを割ったものを表しています。

これは一度のみの結果なので、ファイル転送時の電波の状態などにかなり左右されています。

2.4GHz(802.11n) 53.09Mbps 8.34Mbps
5GHz(802.11n) 151.56Mbps  
5GHz(802.11ac)コンバータ 190.54Mbps 130.50Mbps
有線ギガビットLAN 374.66Mbps 444.60Mbps

2台のパソコンで計測し、1台は5GHzの無線アダプタを内蔵していないノートパソコンです。

結果はかなりまちまちですが、iPerfの結果ほどには有線LANとの差はありません。

ファイルのサイズは833Mbyte、802.11acのイーサネットコンバータ経由で35秒です。

有線LANでは15秒程度で、感覚で言えば、有線LANの2分の1というところです。

Windowsファイル共有の結果

2.4GHz(802.11n) 44Mbps 12Mbps
5GHz(802.11n) 288Mbps  
5GHz(802.11ac)コンバータ 240Mbps 190Mbps
有線ギガビットLAN 640Mbps 505Mbps

転送したファイルと機械はFTPと同一の条件です。

ファイルをドラッグアンドドロップした状態から転送ダイアログが消えるまでの時間を計測しています。

Windowsファイル共有は、WindowsServer2008R2とWindows7以降との接続で、SMB2.1を利用した接続となり、ネットワークの帯域が広いほど、転送速度が目に見えて向上しています。

AC-CONV

この計測のために、サーバーと他のパソコン間の通信を止めているわけではないので、無線の状況や、サーバーへのアクセスなどにもよって揺らぎがあります。

833MByteを転送するのに802.11acのイーサネットコンバータ経由で28秒ほど、有線LANでは10秒強です。

まとめ

この有線LANとの2~3倍程度の転送速度の差を、使える、あるいは使えない、という判断は、それぞれの利用シーンや捉え方に応じて変化するものでしょう。

かつてギガビットの有線LANのない時代に、細々とした回線で通信していたことを思うと、筆者としては10年ひと昔の感があります。

無線で100Mbit有線LANをはるかにしのぐ速度で、ギガビット有線LANの3分の1ものスピードは、無線LANに求めているものをはるかに超えたものでしょう。

これだけの速度が常に出るのであれば、利用シーンによっては無線のみでコスト削減することを選ぶことも十分可能でしょう。

802.11ac規格のアクセスポイントは、11nのアクセスポイントとしても高速で、最新のスマートフォンやタブレットなども11n規格の無線通信で恩恵を受けます。

802.11ac規格の無線LANアダプタ搭載のノートパソコンが普及するまでは、まだまだ時間がかかりそうですが、このようなLAN間の橋渡しであれば、機器の普及を待たずに高速化のメリットを生かせそうです。

まだ802.11ac規格はdraftの状態ですが、これから発売される新しいパソコンなどにもアダプタが内蔵されて行くはずです。

将来的には無線でかなりのネットワーク部分を担当することができるようになりそうです。